かげもん 『京都というまちを考える試み。』第4回
銭湯
2006年10月1日、京都市ではゴミ袋の有料化が実施された。それと同時に、京都府下で行われたことが、銭湯の値上げである。370円から390円への値上げである。20円くらい、と思われるかも知れないが、銭湯利用者にとってはゴミ袋代と同じくらいの負担増である。
銭湯は徐々に値上げされてきた。それも少しずつ。
とても大きな問題だと思うので、以下に銭湯について考えたい。
銭湯は雑多な人々が集まる場であり、しかも誰もが裸になるという意味で、すべての個人が無防備になる場である。しかもお互いに名乗るわけでもない。無防備であることは、さらけだしているという意味で、さらには非武装であるという意味で、とても安全である。近隣住民、子ども、障害者、旅人、観光客、さまざまな未知の人が集う場所である。そしてさらけだしの裸の存在がうろうろしている空間は、公共空間である。皆がさらけだすことで成立する安心の空間である。
今回の値上げの理由として、燃料代の上昇の他に、スーパー銭湯に人が流れたからということが理由としてあげられている。確かにスーパー銭湯には人が集まっているが、しかし銭湯ほど遍在しているわけではない。わざわざ遠くのスーパー銭湯に毎日行けばいいと言わんばかりの理由付けである。
民家の風呂を前提とした議論をする連中に値上げを決定されたのだ。
そもそも図書館や公園が公共空間でありうるのは、そこがタダだからである。銭湯はお金がかかるが、「値上げ」という事態は公共性を失わせることだ。公園に行くように銭湯へ行けるようになることが理想だが、現在においては、銭湯値上げに 反対することは公共性を守ることに繋がる。銭湯は決して特権ではない。値上げは銭湯の特権化をもたらし、風呂を持つ人々を狭い民家の風呂に閉じ込め、そして風呂を持たない人びとを銭湯民族の難民としてしまう。
結論として言いたいことは、さしあたり銭湯を値下げすべきであるということだ。まずは370円でもいい。そして民家の狭い風呂に閉じこもっている人は、たまには銭湯へ行き、自分を解放しよう。何も隠す必要はない。自分をさらけ出すことは、誰でもしていいことなのだ。銭湯へ行こう。これから寒くなる。
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