『へいわ屋漫筆』第8回 鳩は ふわりと
読者の皆さん、こんにちは。
先日、久しぶりの休日に、へいわ屋店主が「何をしよう」「何の本を読もう」と考えていた午前中。ポストにコトッと入れられた一冊の冊子。購読している詩誌 『異郷』 が配達されてきました。何気なく封をきると、そこには代表、犬塚昭夫氏の訃報が載っていました。
一九六二年、長崎の漁師の島から大阪に移り、工場労働の傍ら創作を続けられた方です。反戦の詩もとても多いのです。へいわ屋店主は2年ほど前に、氏が制作された平和はがきや栞を仕入れ、しばらくへいわ屋の商品にさせてもらったことから知り合いました。
「六十年代、大都市の工場で労働しつつ、文学を行い続けた人」
「晩年大病を患うも、詩誌を発行し平和の詩を発表し続けた人」
こう書くだに伝わってくる彼のバイタリティは、店主の一つの指標でした。
「油にまみれた手」というフレーズは彼の詩によく出てきます。
しかし、鉄と油のみ匂い立つ詩風ではないところが魅力的。
「薔薇」
突きつけられた銃口に
これが平和ですと
指し示すもの
やさしく、独りで、でも強く立ちつくす詩が店主を惹きつけて止みません。
「鳩」
おれには
鳩と遊んでいる暇はないんだと
男は言った
一日工場で働いて
休日も出勤して 油にまみれて
あとは寝るだけ
食べるだけ
男の未来は見えなかった男は
ある日
小さい運河を渡る鳩を見た
こちらからあちらへ
工場のある側から
民家や木々の緑のある側へおれには
鳩と遊んでいる暇はないけれど
しかし鳩が
おれたちの未来を教えてくれるならば
鳩が
平和を守ってくれているというのならば
と男は
思いはじめた
薔薇も鳩も犬塚氏の好きなモチーフ。
「ゼゼッポー」と鳴く、地味な山鳩を見ると、店主は氏のことを思い出すことでしょう。
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